どうやら先日の緊急シンポジウムは、私らの予想以上の成果を、
早々ともたらしたようだ。
その時、ご多忙の中をわざわざご参加戴いた国会議員の皆様には、
深く感謝申し上げる。その中でも、最も熱心にご参加下さったお1人が
立憲民主党所属の某衆院議員。その熱意には敬意を表したい。
但し、残念ながらその考え方には同意し難い。同議員は、差し当たり皇位継承資格について、「男系」限定の
“縛り”を維持したままで、女性にまで拡大するだけにとどめる、
というお考えのようだ(女性宮家も“一代限り”)。「男系でなければならないとも思わないし、絶対に女系が
駄目だとも考えていない。
だが、敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下のお子様の世代の問題を今、
敢えて解決する必要があるのか」というご意見。つまり、やがて行き詰まることがハッキリしている「男系」限定の縛りも、
それに固執する人々がいる“当面の間”は、手を着けないでソッとしておこう、と。
とても分かりやすい「先延ばし論」だ。しかし、男系限定を“維持したまま”の小手先だけの制度改正では、
率直に言って皇位の安定継承には何ら寄与しない。
いくら女性宮家があっても、そのお子様方は(女系だから)誰も
皇位継承資格をお持ちではないので。
にも拘(かかわ)らず、そのほとんど無効な方策の為に、
内親王方にご結婚後も、国民としての自由も権利も断念して戴いて、
女性宮家を立て、皇室に残って戴く。
というのは、余りにも残酷で、身勝手な話ではないか。
内親王方ご自身の“人生が懸かっている”という、厳粛な事実を
見逃してはならない。「一代限り」の女性宮家のご婚姻でも、皇室会議の同意は不可欠だろう。
その場合、配偶者は皇族の身分を取得できるのか、どうか。
しかし、皇族と国民で1つの世帯を営むというのは、明らかに不自然だろう。
配偶者に皇籍が与えられるなら、皇族同士の間に生まれたお子様が、
皇族の身分を持たないのも奇妙だ。もしお子様が皇族になられるなら、皇族なのに、男女を問わず
皇位の継承資格が“無い”ということも、ツジツマが合わない。
男系限定の縛りを見直さないつもりなら、男系女性に継承資格を
認めてもさしたる意味は無く、女性宮家も立てるべきではあるまい。今の皇室典範の各条文の趣旨を明らかにする為に法制局
(当時、内閣法制局の前身)がまとめた「皇室典範案に関する想定問答」には、
以下のようにあった。「女系を認めないとすれば…他に男子の皇位継承者がいなくて女帝を認めることは、
天皇制を一世だけ延命させるだけのことにすぎない」と。
その通りだろう。【高森明勅公式サイト】
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